記憶の本棚−ほんの感想

謎めいたタペストリー 『火山のふもとで』松家仁之

新聞の書評で興味を惹かれ、いろいろなメディアにおける高評価や、書店で平積みをちらりと立ち読みして、無性にほしくなってしまった。 「話題の、良質な長編小説をじっくり味わいたい!」と。 実際に読み始めてからは、「古典的な小説なのかな」とトーン・…

水村美苗『母の遺産 新聞小説』/絲山秋子『末裔』

【転落・下降感からの恢復】 水村美苗さんの『母の遺産 新聞小説』についてのレビューは、連載されていた読売新聞にも出たけれど、週刊誌「AERA」(朝日新聞社)にも出た。 その記事では、〈芸術と知〉を激しく求めた母、旧世代の象徴が〈花柄〉であるが…

『切羽へ』井上荒野

ガソリンがなくなったので、最近やってきた自転車で、はじめて町に出かけてみた。 驚いたのは、自転車は歩くのとはまったく違って、はやく着いてしまうこと。 あまりにはやく着いてしまうので、もっと遠くへ行きたくなる。 寄るところは本屋さんくらいしかな…

三浦しをん『木暮荘物語』

年末におもしろかった小説は、三浦しをんの『木暮荘物語』年末の読売新聞で、或る書評者がおすすめの3冊にあげていて、たしか、こんなことを書いていた。 「三浦しをんは、もはや国民作家だ。 老若男女問わず、誰にでも愛読される、稀少な作家だ。」(確認…

綿矢りさ『勝手にふるえてろ』

年末年始の休み前に、図書館から久しぶりにたくさん借りてきた中で、すぐに読んだのが、綿矢りさの『勝手にふるえてろ』どんどん読んだ。前作の『夢を与える』と同じく、綿矢さんって、「イジワルなんだなあ」と思った。『夢を与える』のテーマも、『勝手に…

楽しい本

明るい気分になりたくて、アントン・チェーホフ(Антон Павлович Чехов / Anton Pavlovich Chekhov)の『結婚申し込み』を手に取った(中村白葉訳・新潮文庫・1952年発行) とても短い喜劇。 すぐ読める。 有名じゃない。 でも、やっぱり、おもしろかった。…

宝石のような古書たち

こんな本を手に入れることができました。 『ランドゥッチの日記 −−ルネサンス一商人の覚え書−−』 ルカ・ランドゥッチ著 中森 義宗・安保 大有/訳 (近藤出版社、1988年) 場所は一貫して都市フィレンツェ。 歴史上有名な修道士サヴォナローラ、ローマ教皇の…

画家ポントルモの食日記をよむ

画家の日記2 ポントルモ 『ルネサンスの画家ポントルモの日記』中嶋浩郎訳・宮下孝晴解説 白水社、1991年 前、デューラーの日記について書いたが、画家・ルネサンス・羅列・日記、というつながりで、ヤコポ・ダ・ポントルモの日記(Diario)を思い浮かべず…

3年前に読んだポントルモの日記

2004年の春に書いたものです。今回、少し直しました。 見方が今とちがうとこもあり、自分でも他人の文を読んでいるような不思議な気持ちです。 ささやかな記憶の本棚(ほんの感想)2より http://www.geocities.jp/utataneni/books/list2.html 6年くら…

画家シーレの日記を‥‥

画家の日記3 エゴン・シーレ 『エーゴン・シーレ 日記と手紙』 大久保寛二 編・訳 白水社 2004年 2006年の暮れも押しつまった年の瀬に、いきなり書きはじめた画家の日記シリーズ。自分でも、なぜ書きはじめたのか、きっかけをすぐに思いだせない。 …

画家デューラーの旅日記をよむ

画家の日記1 デューラー 『ネーデルラント旅日記 1520〜1521』前川誠郎 訳・注 朝日新聞社、1996年 画家の講演会を聞きに行ったら(無料)、ドローイングがたくさん展示されていて驚いた。なんてサービス精神旺盛なのだろうと。 しかし、この本にみ…

美味しい外国

http://www.geocities.jp/utataneni/books/foreign_countries.html の転載です。今後はそちらで加筆修正していきます。 ピーター・メイルの『南仏プロヴァンスの12か月』が好きだ。 買う本や、図書館で借りる本はベストセラーばかり、という人がいて、複雑な…

J・オースティン映像化作品 私的リスト

http://www.geocities.jp/utataneni/Jane_Austen/the_audio-visual.html の転載です。今後はそちらで加筆修正していきます。 JA小説の映像化作品 私的リスト ジェイン・オースティン(ジェーン・オースチン)は約200年前の作家ですが、その作品から現在、…

J・オースティン関連書籍 私的リスト

http://www.geocities.jp/utataneni/Jane_Austen/books.html の転載です。今後はそちらで加筆修正していきます。 JA関連書籍 私的リスト ジェイン・オースティン(ジェーン・オースチン)は約200年前の作家ですが、その作品から現在、多くのものが誕生し…

オースティンの長編以外の邦訳書 私的リスト

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/Jane_Austen/list2.html の転載です。今後はそちらで加筆修正していきます。ジェイン・オースティン(ジェーン・オースチン)邦訳書 私的リスト 長編以外 /長編小説翻訳“書”の「些細な事柄」(『愛と友情…

オースティン生前未発表の作品について

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/Jane_Austen/juvenilia.html の転載です。今後はそちらで加筆修正していきます。 ジェイン・オースティン(ジェーン・オースチン)生前未発表の作品について 「わたしのその生意気なところが、お気に召し…

J・オースティンの邦訳書 私的リスト

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/Jane_Austen/list1.html の転載です。今後はそちらで加筆修正していきます。 0 長編小説最古の日本語訳がいまも売られているが、わたしでもわりと読めた。 「これだけがオススメ!」という一品はなく、併…

夏目漱石の大叔母さんオースティン

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/Jane_Austen/Natsume_Soseki2.html の転載です。今後はそちらで加筆修正していきます。 0 まもなく変わってしまうけれど、(五千円札への樋口一葉の採用バンザイ!)、千円札に印刷されてきた青いお顔の夏…

夏目漱石の称賛したオースティン

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/Jane_Austen/Natsume_Soseki.html の転載です。今後はそちらで加筆修正していきます。 夏目漱石がジェイン・オースティン(ジェーン・オースチン)を絶賛したことはこちらにも書いた。その『文学論』(文…

蜷川演出・萬斎主演『オイディプス王』から

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/books/list2.htmlを更新しました。今後はそちらで加筆修正していきます。ソフォクレス『オイディプス王』高津春繁訳 (『古典世界文学 アイスキュロス ソポクレス』筑摩書房) テレビをだらだら見ていたら…

すてきな暮らしの物語修正

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/books/houses.html を書き直しました。今後はそちらで加筆修正していきます。 ほんの感想 すてきな暮らしの物語 『家守綺譚』梨木香歩(新潮社、2004年) △(さんかく)。あまり面白くなかった。『西の魔…

『からくりからくさ』梨木香歩

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/books/list2.htmlに追加しました。今後はそちらで加筆修正していきます。 梨木香歩『からくりからくさ』新潮社 1999年5月刊行 『家守綺譚』を読んで、この作家の和風の暮らしの物語を読みたくなった。謎解…

好きな言葉「内田百輭」

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/books/jewel_case1.html より。今後はそちらで加筆修正していきます。好きな言葉・文章 義兄は(略)もともと口数の少ない人なのだ。夫が死んだときも、終始黙々と控えて、自分の感慨は口に出さなかった。…

ささやかな記憶の本棚2

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/books/list2.htmlの転載です。今後はそちらで加筆修正していきます。 大塚ひかり『「ブス論」で読む源氏物語 』講談社+α文庫、2000年 タイトルや、言葉遣いが乱暴(に感じられる)なのは、類書から目立つ…

オースティンとハーンと漱石

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/Jane_Austen/Lafcadio_Hearn.html の転載です。今後はそちらで加筆修正していきます。 ジェイン・オースティンとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と夏目漱石 2004年はラフカディオ・ハーン(ヘルン、…

『ゲド戦記』ル=グウィン

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/books/Earthsea.htmlの転載です。今後はそちらで加筆修正していきます。変貌するアースシーの世界アーシュラ・K・ル=グウィン(Ursula K.Le Guin) 清水真砂子訳 岩波書店 このシリーズを好きな順にあげた…

ホビット・指輪物語の感想加筆

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/books/Tolkien.html

『旅路の果て モンゴメリーの庭で』

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/books/Anne.htmlからの転載です。今後はそちらで書き直します。メアリー・フランシス・コーディ 田中奈津子訳(講談社、2000年) モンゴメリーと小学校で同級生だった男性が、都会トロントで医者になって…

わたしの落窪物語

以下はhttp://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/books/TheBlueCastle.htmlからの転載です。今後はそちらで書き直す予定です。 『青い城』 L・M・モンゴメリ 谷口由美子訳 小学校高学年のとき初めて読んで、パチパチと薪のはぜる、暖かくて居心地の…

美味しい外国

以下はhttp://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/books/foreign_countries.htmlにも載せています。今後はそちらで書き直す予定です。 ピーター・メイルの『南仏プロヴァンスの12か月』が好きだ。 買う本や、図書館で借りる本はベストセラーばかり、…