以下はhttp://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/movies/2.htmlにもあります。今後はそちらで修正していくつもりです
「最近、おもしろい映画見た?」 「うん! テレビでねぇ…」
「そうじゃなくて、ちゃんと映画館で」とさえぎられる人間の感想です
甲冑をつけて、古代の重々しい武将っぽく振る舞っているのだけど、どうしても、今から数十年前の都市ロンドンのヘンリー・ヒギンズ教授にしか思えない。「イライザ」(『マイ・フェア・レディ』)
噂に高いエリザベス・テイラーがハッとするほど美しかったのは、船上(アクティウム海戦か?)での青い衣装のときくらい。楽しみにしていたのに。
しかし、蛇に咬ませて自殺とはどうやって? とかねて不思議だったのが、この映画を見て納得。
もう一人の歴史上の有名人アントニウスは、浜辺に倒れていたのを覚えているのみ。
(これを書くためにわかったのだが、『じゃじゃ馬ならし』の豪快な男ペトルーキオーだった! でも、わがままで凶暴なお姉さんカタリーナ役のテイラーの方が、やっぱり印象的だったなあ。とくに藁がいっぱいの小屋の場面。
結婚した後は、ロバに乗せられて、雨の中、荒野を行かされる。かわいそうになった。邸はぼろいし、服屋は追い払われるし。
従順そうな妹が夫の言うことを聞かなくなるのには、納得。でも、カタリーナが夫に従順になったのがなぜなのか、ぜんぜん判らなかった映画。)
テイラー女王が息子シーザリオンとともに、エジプト王国の威光を引っさげて、ジャジャーンと巨大な木馬か何かでローマに登場するところは印象的だった。どハデという点で。
全体にもたもたしていた映画だった。
あと、『ベン・ハー』を連想する。イメージされる色が乾いた土のような茶色っぽさだからか?
この長い映画(とちゅうに、ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の「ダビデ」の指が映った)は、2度目に見た時、チャールトン・ヘストンが体だけの人間に見えた。考え方もマッチョではないだろうか。恋人役(召使い)はいい感じだし、廃墟になって落ち葉の舞う邸宅のシーンはすてきだし、戦車を引いて競り合う場面は印象的。それに、主人公が恵まれた境遇から、戦闘船で漕がされる奴隷に落とされ、武将を助けたことでローマで復帰する。母と妹は、じめじめして日の射さなそうな石の牢獄の中。やって来た兵士が叫んで去る。らい病に罹っているた、最後にハッピーエンドというような波瀾万丈なストーリーは面白いのだけど、全体が主役男性の古い男性ぽさに覆われている。
むかしに名作、傑作といわれていた大作映画って、案外、空疎なのかもしれない。
アカデミー賞のカラー撮影、美術監督、衣装デザイン、特撮効果賞の4部門受賞
衣装(デザイン) Irene Sharaff (アイリーン・シャラフ)
1963年 アメリカ ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督
レックス・ハリソン(シーザー、カエサル)、リチャード・バートン(アントニー、アントニウス)
『CLEOPATRA クレオパトラ』