牛伏山へ行ってみた:群馬県高崎市吉井町の山(標高491m)

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群馬県南部にある牛伏山まで行ってみた感想。

お城の形をした展望台や中継塔が麓からも見えて、鏑川の地域の山々のなかでは探しやすいほうの山だと思う。

上信越自動車道の吉井インターの近く。

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 道にはもう、薄紫色のフジの花が散っていた。花びらというより花つぶ、という感じ。何かの文字のようにも見える。点々と落ちている花がらが「実は山に来た人に向けて書かれているメッセージだったらおもしろいな」と思った。

 地面には、緑色の草がたくさん生えていた。さまざまな形、緑色の葉があって、形と色の興味深いカタログのようだ。

 草にも木にも、白い花や黄色い花が咲いている。頭上は、蜂かなにかのムシの羽音がいっぱいだ。鳥もいろいろ鳴いている。

 紫色やピンクがかったスミレが、まだ少し咲いている。春先は、黒に近い紫色からピンクがかった色、白色までバラエティに富んだスミレの花があちこちで目についた。でも、今は脇へ退いて、代わりに青々とした草々が群衆となって、バッと中心へ踊り出てきた感じ。

 群青色のフデリンドウも咲いている。ただ、前は群れのように咲いていた。

 この日は白いチゴユリの花が、遊歩道を中心にたくさん咲いていた。うつむきがちに。また、そうでない向きで。

 遊歩道に入った時、――目の前が緑色。見える世界全部が緑色になった。美しかった。世界は美しい、と思った。

 コアジサイのつぼみがもう膨らんでいる。ホオ(朴)の木の葉の大きさに驚いた。

 

 クマンバチが仰向けになってバタバタしていた。草の茎を差し出したら起き返ったけれど、飛ばない。あたりをぐるぐる回りながら歩いているだけ。以前、やはりクマンバチが急に落ちてきたけれど死んでいたのを思い出す。春の真っ盛りに、もう弱って死んでゆくものがいるのだ。

 日の翳った山林に、白いぽやぽやとした木の花が美しい(アオダモか)。

 オトコヨウゾメ、ウツギ、ウワミズザクラ(?)も。それから、薄紫色で華やかに咲いているシャガの花。

 

 琴平神社の奥にある登山道は、ヤマツツジの花の中をゆく小道となっていた。うれしい驚き。新緑のなかに、澄んだ赤色の花群が美しい。この色の形容が難しいのだけれど、とりあえず、澄んだ赤、透明感のある赤、という感じがする。

    花の白色が目立つけれど、やはり白と言えば、枯れたり、枯れかけたヤマザクラの木に付いた白い粘菌(?)も相当目立つことを言わなければならないだろう。どう言っていいのかわからないが、この山には死んだヤマザクラの木、「死木」も多い。立っているけれど、また、半身には若葉を吹き出してはいるけれど、「死んで」立っている木がけっこうある。山腹にヤマザクラがたくさん咲く一昔前の山の風景は、もう少ししたら、大きく変わってしまっているだろう。死んだものや、死につつあるものは、蜂一匹だけではないのだ。複雑な気持ちになる。

 

    黄みがかったホウチャクソウ(宝鐸草)のつぼみ。

 ルリ色の小さな花。リンドウ形ではなくて、5弁ぽい星形の花鉢が開いたような花。咲き始めたものは赤紫色をしている。花弁には白い筋が入っている。光条のようだ。ブルースター、ブルーアイと呼びたいような可憐な花(ホタルカズラか)。

 チョウチョが死んでいた。羽には光る青緑色や濃いオレンジ色の紋様がある。美しい蝶。――ふと思った。今多くの鳥のさえずりが聞こえているけれど、あの鳥らも死んでいくのだなあ。‥‥(!)  だいたい、自分も死にゆくのだなあ。

 

    下りの道で、初めてミズキの花が目に入った。黄みがかったクリーム色で、円盤状の花皿がたくさん枝に載っている。枝は、太陽の方へ差し出したテーブルか何かのようだ。

 群馬県南部の平地の牛伏山は遠くから見ると、とっくに山頂まで濃いめの緑色に覆われている。だから、すでに世間でいう初夏なのかもしれないけれど、こんな低い山のなかへ少し入るだけでも、いろいろな花が咲いたり、これから咲こうとしている。春が極まっている。