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『江戸の風雅』番外編〜酒井抱一〜

眼玉と歩いた

酒井抱一『四季花鳥図巻』

のミニ複製(上下2巻)が、群馬県立近代美術館のミュージアム・ショップで売られていた。


教科書にも出ている、ドラクロワの『自由の女神(民衆を導く自由の女神)』がルーヴル美術館から来たとき、家族に連れられ、東京へ見に行った。
すごい人だかりであった。
暗い展示室には警備員の男性がいて、声を張り上げていた。
「とまらないでください」「子どもが泣いています」みたいなことを。
「とまらないでください!」
実は、それはわたしのことだった。
はっと周りを見ると、人がいなかった。


その後、大行列、大混雑、人いきれの中を過ぎて、2階へ上がったとたん、静けさに包まれた。
それでも並んで、何気なく下を向いたら、ガラスケースに釘付けになった。


黄色い福寿草の花、歩む鳥、美しい花々。
地面など描かれていない、寄って立つところの茫漠とした非写実的な絵画空間。
けれども、魅了された。
明るい快い色彩と、かわいらしい形。
それが楽しい音楽を奏でる音符のように、弾んでいた。


日本の古い絵に、こんなに魅了されたことはなかったとまで感じた。
酒井抱一。
その名前を、そのとき初めて知ったのだった。