『江戸の風雅 旧きを知り 新しきを創った絵師たち』群馬県立近代美術館

ランキング“ベスト8”


1位 酒井抱一
 『朝顔図』 好き。かたちと青い色がいい。
 『秋草花卉図』も好き。
 金地に、べったりとしたカラフルな塗り絵みたいでもあるんだけど、花の向き、葉のそよぎ、葉先・枝先の向きがすばらしい。目に快い。快楽。軽快な感じ。歌っているよう。
 県内(桐生の浄運寺)にあるなんて、すごい。
『桐図屏風』 琳派らしい墨色のたらし込みなんだけど、おもしろい!


2位 尾形乾山
『富士山図』松と山の緑、雪の白。かたちもシンプル、明快、美しい。ほしい。
朝顔図』金扇子。これもほしい。


3位 伝俵屋宗達『卯の花図屏風』
前から好き。家の中、リビングの観葉植物のような存在ではないか。翳りのある金地に濃緑が美しい。目の保養になる。


4位
 久隅守景『四季耕作図屏風』『耕作織蚕図屏風』
『納涼図屏風』の人なので楽しみだった(寝ころぶ男性と、上半身を脱いだ若い女と、男の子が夕顔の棚の下で涼んでいる、なごやかな絵)。
今回のふたつの屏風には、豊かな国、夢が描かれていた。
人を乗せて川を渡る牛、鋤(すき)を引く牛、庭先で向こうむきの牛のお尻がかわいらしい。
一遍上人絵伝』の田舎の部分が拡大されたようなおもしろさ。次々に画面が変わる。これは映画に似ている。自分の歩みで展開されていく世界。

『耕作織蚕図屏風』右図
「待ってー、待ってー」と追いかけている女の子のような絵。そう思うと、共感される。
馬や、チャボ、遊ぶ子ども(豊かさの象徴のようだ)はいるけれど、お目当ての犬は描かれていない。『耕作図』(重文、京都国立博物館)の3匹が好きなのだ(千方可『ドッグ・ギャラリー 犬の贈り物』で知った)
『耕作織蚕図屏風』の左はしにも牛がいる。これもかわいい。
久隅守景は鳥の絵もあった。『海棠に山鵲図』


5位
 山崎龍女『遊女と達磨図』
樋口一葉を紹介するときに使いたいような絵。貧と清と最高位の遊女。『たけくらべ』の世界が想起される。また、世をわたっていく一葉のよう。


6位
 椿椿山(つばきちんざん)『蔬菜図』
野菜が植わっている墨の絵。のんびりする。なんでこういう絵が描かれたのだろう。カタログには説明されていない。

それから、岩佐又兵衛の絵を初めて見たこと(『弄玉仙図』)
久隅守景の娘の絵も初めて見たこと(清原雪信『弁財天図』『浮舟図』。守景と探幽の姪との娘だという)


7位 伊藤若冲
旭日松鶴図』 出た! は虫類みたいな、おぞましい感じの目つきの長首のトリ。
『乗輿舟』 拓本の技法による絵巻。深い黒味の広がる美しい世界。


8位
 谷文晁『隅田川両岸図』
これも久しぶり。以前はスケールの大きさが好ましかったのに、この日はめでたい絵に感じた。白雪に常緑の松、清白の富士山が描かれているからか。年を取って、少しでも幸福な感じ(吉祥感)を求めているのか。


 亀田鵬斎『山水図』
これも久しぶりに見た。岩がオレンジ色の長方形のブロックで構成されているようで、おもしろいと印象に残った絵。
あれ、これ好きーと思ったら、この人の『浅間山真景図』
これがアサマかなあ。もっと、お釜(火口縁)は美しいと思う。



このマイ・ランキングをふりかえると、装飾的できれい、室内にかけたり、手でもてるような作品が好きなことがよくわかる。
ついで、飄逸な味わいのある動物、自然の絵。
一方、美人画には惹かれない。