今春看又過

2007年3月


 へやの中をすこし片づけた。
 大きめの木の机があって、その上を整理していったら、いろいろな物が続々と出てきた。自分でも驚いた。

 きれいな切手。
 あちこちの美術館で買った絵はがき。
 書店のしおり。
 ビン。
 小さな食器。
 
 石。
 紫水晶や紅水晶。金属のまじった黄鉄鉱。水色のホタルイシなど。
 それから、買った石ではなく、拾った石もでてきた。それらは、変わったところのない石だけど、形や重さ、質感が好きなのである。


 木の枝。サクラの枝は2本もあった。赤くて光沢があるから好きなのだ。

 木の葉。もうカサカサになっていた。

 木の実。
 いい匂いがするガマズミ(?)の実は袋にいれてあった。

 草の花が枯れたの。

 鳥の羽。
 茶色いのが多い。光っている青い羽根もあった。カケスだったろうか?

 それから、緑色のマユ。2つもあった。マユはおもしろい形をしている。ユニーク。

 ところで、石は床にもごろんごろんある。大きくて、机には置けないのだ。




2007年4月


 裏山にいたら、トンビ(トビ、鳶)がトカゲらしきものをくわえて飛んでいった。くわえられたものは、尻尾のあたりがだらんとしていた。トンビはまた飛んできた。

 虫が目のまわりをうるさい。草が出て、木の芽が出て、虫も湧いてくる季節にまたなったんだなあ。

 山村みたいなここを歩いていると、若葉や畑や空の美しさが心にしみてくる。虫の音、鳥の鳴き声も快い。
 とくに丘陵、山は一日一日でその色合い、明るさ、表情を変えていって、どの時もとても美しく見える。山はふつう、緑色というけれど、春は葉が黄色くもあり、赤かったりもし、銀色でもある。
 天国、極楽とは、こういうこの世のことではないかと思った。


(「今春看又過」というタイトルは杜甫の「絶句 二首」の詩句。ふと思い出したので使ってみた。)