http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/Yuriko_Takeda/bibliography.html に以下を追加しました。今後はそちらで加筆修正していきます。
『KAWADE夢ムック 文藝別冊 総特集 武田百合子 天衣無縫の文章家』
河出書房新社 編集人・西口徹さん、編集・大西香織さん 2004年2月刊行
CONTENTSの一部を紹介します。
【百合子さんの文章・対談】
『武田百合子単行本未収録コレクション』
というタイトルながら、エッセイは、百合子さんのではない単行本には収録されているものだ。今回、どの本にも収録されていない文章は掲載されていない。
百合子さんの発表順に並べてみました。
( )はわたしがつけ加えたことです。
・女学校時代の詩3編 (『百合子さんは何色』所収)
・「あとがき」 武田泰淳『身心快楽』
・「絵葉書のように」 『私の文章修行』
(初出『中央公論』1978年3月17日号「私の文章修行」欄)
・「よしゆき賛江」 『群像日本の作家21 吉行淳之介』
(初出「讃」『面白半分』1979年3月臨時増刊号・創刊100号記念「とにかく、吉行淳之介。」)
・「あの頃」 『埴谷雄高作品集』栞
(挟まっている月報。たしか灰色。)
・「思い出」 『墓一つづつたまはれと言へ−遠藤麟一朗 遺稿と追憶』
・吉行淳之介さんとの対談 「“好色五人女”のおもしろさ」
・「富士山麓の夏」 『大岡昇平集』月報
・「思い出すこと」 『脱毛の秋 矢牧一宏遺稿・追悼集』
・「あの頃」 武田泰淳『風媒花』講談社文芸文庫
【写真】
○『百合子さんが見たロシアの風景 『犬が星見た』フォトアルバム』
中央アジアのブハラで、百合子さんの撮った写真。これは、とてもうれしかった。カラー写真もある。
○百合子さんを映した写真
以下、撮影者名のない写真は、ほとんど武田花さん撮影。
「カラー」とない場合はモノクロ。
年号は西暦に変えている。
・表紙
『富士日記(上)』(中央公論社、1977年)・『武田百合子全作品 3 富士日記(下)』(中央公論社、1994年)の扉とおなじもの。1973年「富士山荘で」(全作品)
・表紙裏
『全作品 4 犬が星見た』(1995年)の扉とおなじもの。1980年ごろ「富士山荘で」(全作品)
・扉
『全作品 3 富士日記(上)』(1994年)の扉とおなじもの。1947年ごろ(全作品)
目次ページ
・中公文庫『日日雑記』(1997年)のカバー裏とおなじもの(撮影者不明)
・泰淳さんと赤坂の室内(?)にいる百合子さん
・タマちゃんと庭(?)に座っている百合子さん
・ほかの書籍にも掲載されていた、サングラスを掛けて猫ちゃんと立っている百合子さん
『アルバム』 8ページ18葉
初見のなかでも興味深かった写真を挙げ、詳細は省略させていただく。
・1968年3月だという赤坂のお宅での(?)写真(集英社提供)
・1976年1月「靖国神社への初詣」(『目まいのする散歩』を想起させます)
・1977年「田村俊子賞受賞式」
・77年ごろ「たまと」
・86年7月「ベルリンの動物園にて」(大きなゴリラの銅像のまえに立っています。トラの仔を抱いた写真とはちがう面白さがあります)
・1984年「東京駅と有楽町駅の間のガード下にて」(ぼろい瓦屋根の下、「餃子」という太い字の提灯の横に立っています。“遊覧者”としての百合子さんらしさが出ているように思います)
そのほか文中にも、写真が挿入されている。初見のうち、興味深かったもの
・p.9 1987年「12月31日、浅草で」
・・・すいません、疲れたので【写真リスト】は中断します。
【インタビュー】
加藤治子「親友・百合子さんのこと」、武田花、鈴木修、巌谷國士
【対談】
川上弘美×村松友視
【諸氏の文章】
書き下ろし(再録でない文章)
・安田謙一 「犬が映画見た 武田百合子が観た映画を追いかけて」
映画をとりあげた文章が読みたかったし、勢いと熱意が感じられて、とてもよかった。印象に残っている。
それから、この文章中に出てくるサイトはここのことかな、と勝手に思いこんでいます。でも、そういうのと関係なく好きです。
本稿締め切りの前夜、まさに前の夜、あるWebサイトで、百合子が(略)「映画館」という連載をしていた、という情報を得た(得てしまった!)。そして、締め切り日(つまり、書いている、今日)の午前中、近くの国立大学の図書館で(略)全十九回の連載すべてを読んできた。 |
岸田今日子(『武田百合子全作品4』の解説も書いていた人)、堀切直人(ものを書き出したばかりの百合子さんに『イメージの文学誌 物食う女』の監修を依頼した人。おそらく、百合子さんのエッセイの「ホリキリさん」)、坪内祐三(ほかの雑誌にも百合子さんのことを書いたようです)、長野まゆみ、堀江敏幸、野村麻理、木村帆乃「武田百合子著作レビュー」
再録
金井美恵子、山口瞳、阿佐田哲也、粟津則雄、島尾ミホ、安原顯、埴谷雄高、種村季弘
全体の感想
文藝別冊を読んだことなかったから、どんな本なのかわからなかった。届いてみたら、写真は予想していたとおり、見たことのある写真が多かった。でも、未見の写真には惹きつけられた。
残念なのは活字。百合子さんの文章は完全な未収録ではないし、諸氏の文章も再録が半分くらいだった。書き手・語り手はこれまでにも百合子さんに言及している人が多かった。もちろん、良い書籍を作ろうとすれば、こうなるのかもしれない。でも、わたしは今の若い作家、文章以外の分野の作家が百合子さんをどう捉えているのかも知りたかった。
・・・わたしはこれまで、百合子さんの作品や、百合子さんについての文章を図書館で(時には取り寄せて)コピーして集めてきた。だから、残念な気持ちも持つのだろう。こんな、しかも自分勝手な人間は日本に、世界に地球に(と言っても同じだ)、いないに決まってる。良い本が作られるとすれば、こうなるのは当然なのだ。
とはいえ、コピーした紙片よりも、やはり冊子の形のほうが読みやすいのを実感した。・・・上にはあんな風に書いたけれど、読み物と、眼を楽しませてくれるアルバムとして机上において愛読している。