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『旅路の果て モンゴメリーの庭で』

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/1951/books/Anne.htmlからの転載です。今後はそちらで書き直します。

メアリー・フランシス・コーディ 田中奈津子訳(講談社、2000年)

 モンゴメリーと小学校で同級生だった男性が、都会トロントで医者になって成功しているというのは、ありえそうな話だ。モンゴメリーを輩出したのだから。

 モンゴメリーは小さな農村から、教育と文学的才能によって、より向上した生活へと進んだ。いわば貪欲と努力の人だ。この本でも、近年よく書かれている晩年の苦しみが、言葉を尽くして表現されている。ただ、松本侑子氏の本で引用されていた結婚式直前の日記がわたしのなかでは、彼女の苦しみを表すものとして一番印象に残っている。胸が痛くなるような絶望の書だった。

 『旅路の果て』ではモンゴメリーが平和主義者みたいに描かれている。しかし、彼女は戦争に熱狂していたとか。また、この本は少女ローラを登場させて、モンゴメリーの悲劇的な死に救いを持たせている。これも真相はどうなんだろう。

 新しく知ったこともある。たとえば、大英帝国勲位を授与されていたなんて。傑作を上梓したシェイクスピアも、ジェイン・オースティン(ジェーン・オースチン)も、エミリー・ブロンテも、そんな華々しい待遇は受けないまま死んだ。しかし、モンゴメリーはデビュー作『赤毛のアン』をのぞいては、大作家ではないのだ。欲にまみれていない、澄んだ目を持っていればこそ、苦しい。