『江戸の風雅』番外編〜酒井抱一〜

酒井抱一『四季花鳥図巻』のミニ複製(上下2巻)が、群馬県立近代美術館のミュージアム・ショップで売られていた。 教科書にも出ている、ドラクロワの『自由の女神(民衆を導く自由の女神)』がルーヴル美術館から来たとき、家族に連れられ、東京へ見に行っ…

『江戸の風雅』 others

そのほかによかった作品 新聞などでも紹介されていた狩野探幽『鸕鷀草葺不合尊降誕図』(うがやふきあえずのみことこうたんず) 鶴の恩返しが想起される絵。こちらは「チョッ」って覗き見ちゃった感じ。 山幸彦の左下から、タテ長の画面下まで続き、さらに横…

『江戸の風雅 旧きを知り 新しきを創った絵師たち』群馬県立近代美術館

ランキング“ベスト8” 1位 酒井抱一 『朝顔図』 好き。かたちと青い色がいい。 『秋草花卉図』も好き。 金地に、べったりとしたカラフルな塗り絵みたいでもあるんだけど、花の向き、葉のそよぎ、葉先・枝先の向きがすばらしい。目に快い。快楽。軽快な感じ…

水村美苗『母の遺産 新聞小説』/絲山秋子『末裔』

【転落・下降感からの恢復】 水村美苗さんの『母の遺産 新聞小説』についてのレビューは、連載されていた読売新聞にも出たけれど、週刊誌「AERA」(朝日新聞社)にも出た。 その記事では、〈芸術と知〉を激しく求めた母、旧世代の象徴が〈花柄〉であるが…

武田百合子さんの秘密?

作家武田泰淳さんについての雑誌の追悼特集で、日記を公表した武田百合子さん。 ご家族の回想という枠でもあったのだろう。 では、『富士日記』『犬が星見た ロシア旅行』――つまり、泰淳さんとともに生きていたころの日記は、なぜ書かれたのか? 百合子さん…

『武田百合子』第5巻!

『精選女性随筆集』という本が、川上弘美と小池真理子の選で刊行されることを、新聞の広告で知る(文藝春秋) 1冊、1890円もする。全12巻。 広告は大きくはなくて、タイトルは第1巻『幸田文』(川上選)と『森茉莉・吉屋信子』(小池選)のみ。 けれ…

『切羽へ』井上荒野

ガソリンがなくなったので、最近やってきた自転車で、はじめて町に出かけてみた。 驚いたのは、自転車は歩くのとはまったく違って、はやく着いてしまうこと。 あまりにはやく着いてしまうので、もっと遠くへ行きたくなる。 寄るところは本屋さんくらいしかな…

三浦しをん『木暮荘物語』

年末におもしろかった小説は、三浦しをんの『木暮荘物語』年末の読売新聞で、或る書評者がおすすめの3冊にあげていて、たしか、こんなことを書いていた。 「三浦しをんは、もはや国民作家だ。 老若男女問わず、誰にでも愛読される、稀少な作家だ。」(確認…

綿矢りさ『勝手にふるえてろ』

年末年始の休み前に、図書館から久しぶりにたくさん借りてきた中で、すぐに読んだのが、綿矢りさの『勝手にふるえてろ』どんどん読んだ。前作の『夢を与える』と同じく、綿矢さんって、「イジワルなんだなあ」と思った。『夢を与える』のテーマも、『勝手に…

静けさの美 ハンマースホイ展&常設展

「ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情 Vilhelm Hammershøi: The Poetry of Silence」 国立西洋美術館 リサイクル・ボックスにあった(捨てられていたのと同じだと思う)パンフレットで、この展覧会を知った。 ゆったりめの黒いワンピースの女性が、…

光に魅せられたフェルメール展

「Vemeer フェルメール展 光の天才画家とデルフトの巨匠たち」東京都美術館 それまでフェルメール作品は、いくつかの絵に限ってなら、好きだった。 青いターバンと、耳もとの大粒の真珠、瞳やくちびるのちょっとした輝きに目を奪われる、若い女性像。フェル…

楽しい本

明るい気分になりたくて、アントン・チェーホフ(Антон Павлович Чехов / Anton Pavlovich Chekhov)の『結婚申し込み』を手に取った(中村白葉訳・新潮文庫・1952年発行) とても短い喜劇。 すぐ読める。 有名じゃない。 でも、やっぱり、おもしろかった。…

宝石のような古書たち

こんな本を手に入れることができました。 『ランドゥッチの日記 −−ルネサンス一商人の覚え書−−』 ルカ・ランドゥッチ著 中森 義宗・安保 大有/訳 (近藤出版社、1988年) 場所は一貫して都市フィレンツェ。 歴史上有名な修道士サヴォナローラ、ローマ教皇の…

ロボットと女子の距離。「大ロボット博」

2007年10月23日(火)〜2008年1月27日(日) 国立科学博物館(東京/上野) サブタイトルに「〜からくりからアニメ、最新ロボットまで〜」とあるように、人気のアニメと、最近話題の先端技術と、定評ある江戸文化をうまく組み合わせて、観客の間口を広くした…

可愛くて怖い、「大ロボット博」

2007年10月23日(火)〜2008年1月27日(日) 国立科学博物館(東京/上野) 「かわいい。」−−と低い渋い声で言っていたのは、中年男性。 Honda(ホンダ)のASIMO(アシモ)が、お手伝いロボットとして、くるくると動き回っていたショー。 「“ドラえもん”みた…

武田百合子さんの特集記事を読んで

前回書いたように、先月、武田百合子さんを特集した新聞記事がでた(朝日新聞8月19日) ここ数年、武田百合子さんについて、ふれている文章が多い。 百合子さんは才能にめぐまれた、特異な人。 浮遊的で、楽しく人生を送った人。 とだけ受け取られてしま…

武田百合子さんが新聞に大きく紹介されました!

新聞をめくって、胸がドキンとした。大きな活字の「武田百合子は終わらない」という見出しが、目に飛びこんできたからだ。ナニ!?ナニ!? びっくりした。なんと、紙面を大きく割いた特集記事で、武田百合子さんが取り上げられているではないか。 しかも、…

「武田百合子全作品」未収録作品集100票!

復刊ドットコムからメールがあり、『「武田百合子全作品」未収録作品集』へのリクエスト投票数が、なんと、100票に到達しました! http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=24267 始めてから3年。こんなに早く100票を越えるとは、予想してなかったで…

今春看又過

2007年3月 へやの中をすこし片づけた。 大きめの木の机があって、その上を整理していったら、いろいろな物が続々と出てきた。自分でも驚いた。 きれいな切手。 あちこちの美術館で買った絵はがき。 書店のしおり。 ビン。 小さな食器。 石。 紫水晶や紅…

2006展覧会BEST1!

『プライスコレクション 「若冲と江戸絵画」展』東京国立博物館平成館 7月・8月』 うす暗い会場に入ったら、いきなり長沢芦雪(長澤蘆雪)の虎図があって、うれしかった。芦雪のトラは、だいぶ前から新聞・書籍などで大きく取りあげられていて、気になって…

画家ポントルモの食日記をよむ

画家の日記2 ポントルモ 『ルネサンスの画家ポントルモの日記』中嶋浩郎訳・宮下孝晴解説 白水社、1991年 前、デューラーの日記について書いたが、画家・ルネサンス・羅列・日記、というつながりで、ヤコポ・ダ・ポントルモの日記(Diario)を思い浮かべず…

3年前に読んだポントルモの日記

2004年の春に書いたものです。今回、少し直しました。 見方が今とちがうとこもあり、自分でも他人の文を読んでいるような不思議な気持ちです。 ささやかな記憶の本棚(ほんの感想)2より http://www.geocities.jp/utataneni/books/list2.html 6年くら…

画家シーレの日記を‥‥

画家の日記3 エゴン・シーレ 『エーゴン・シーレ 日記と手紙』 大久保寛二 編・訳 白水社 2004年 2006年の暮れも押しつまった年の瀬に、いきなり書きはじめた画家の日記シリーズ。自分でも、なぜ書きはじめたのか、きっかけをすぐに思いだせない。 …

2006年よかった展覧会

1 位 『プライスコレクション 「若冲と江戸絵画」展』 東京国立博物館平成館 7月〜8月 同 1 位 『仏像 一木にこめられた祈り』 東京国立博物館平成館 10月〜12月 2 位 鴻池朋子展『惑星はしばらく雪に覆われる』 ミヅマアートギャラリー(目黒区) …

画家デューラーの旅日記をよむ

画家の日記1 デューラー 『ネーデルラント旅日記 1520〜1521』前川誠郎 訳・注 朝日新聞社、1996年 画家の講演会を聞きに行ったら(無料)、ドローイングがたくさん展示されていて驚いた。なんてサービス精神旺盛なのだろうと。 しかし、この本にみ…

『迷宮+美術館 ─コレクター砂盃富男が見た20世紀美術─』

今後はhttp://www.geocities.jp/utataneni/art/new.htmlで加筆訂正していきます 第1会場:高崎市美術館、第2会場:群馬県立近代美術館(群馬県庁昭和庁舎)(2006・9・17〜10・22) 渋谷区立松濤美術館(10・31〜12・10) (砂盃=いさ…